「あれから赤い唇に会った?」
と友人。
「会ってねえ。メアドは聞いたけど、何も送ってねえし向こうからも来ねえよ」
先日、酒の力に任せて女を強引に誘い、近所のホテルで四人で乱交したのだが、翌朝になると酔いもさめ、白けた気分になってほとんど会話せずに別れた。あれは何だったんだろう。
千葉市の繁華街に友人と呑みにいった夜のこと。隣の座敷で五、六人の女子大生風のグループがにぎやかに呑んでいた。
「いい女が二人いるな」
友人が梅酎ハイを飲みながら座敷を見ている。
「胸がでかいのと、唇が赤いのだろう」
「お前もそう思うか」
「後で声かけてみっか」
「俺は巨乳を予約する」
「じゃあ俺は赤い唇だ」
会が終わると、女たちは口を盛んに動かしながらスローモーに支度をはじめ、散らばりだした。タイミングを見計らい友人が巨乳に近づいて声をかけた。どんな風に誘っているのかわからないが、動きを封じるような強引な誘いかただった。巨乳は最初びっくりしていたが、徐々に目が垂れた。友人は一日に二回ナンパを成功させたというエピソードの持ち主。酔った女と口説くくらい赤子の手をひねるようなものなのかもしれない。
ところで友人は赤い唇にも声をかけた。友人が俺を見ると二人も俺を見た。四人で楽しくやろうぜ。そんな声が聞こえてきそうだ。話が付いたのか友人が俺を手招きする。ナンパにあたって俺の出番はなかったようだ。
「ごめんね! 先に行って! 私たちもうちょっと飲んでくから」
巨乳が活きいきした声でレジ付近にいる仲間に声をかけた。
その店て軽く呑み直したが、友人は意図的にエッチな話題ばかり提供する。すると二人の女も乗ってくる。女同士ではあまりそんな話をしないのだろうか。溜まっていたものが吹きだすように下ネタが飛びだしてくる。
「私ね、教授と寝たことあんのよ」
巨乳が胸を揺さぶりながら自慢する。
「大学の先生もでかいオッパイがお好きなようだな」
「かもね・・・ずっとオッパイ触られてたもん」(笑)
「ヒトミは淫乱で有名だもんね」
赤い唇が人差し指で胸を衝く。
「クミちゃんだってそんな顔してるけどさあ、いっぺんに二本できるんだよね」
「今ね・・・三本に挑戦中」
赤い唇をすぼめる。
「いっぺんに二本って何?」
「おフェラ」
酔った女子大生は隙だらけ。だったら二本できるかどうか試してほしいと俺が言うと、これから四人でホテル行こうと盛り上がり、すぐに居酒屋を出た。四人には弾けるような勢いがあった。若い性的衝動が濁流のようにほとばしる。
四人で乱れる。
赤い唇に二本刺すと、本当に同時フェラをやってのけた。唾液をたらたらこぼしながら両頬を膨らませる。両手で二本の生棒をしごきながら亀をむしゃぶる。
「んんッ! うむむうッ! くううう ちゅぱちゅう・・・」
それからパートナーを交換しながらセックス。コンドームは二個しかなかったので、何度か生挿入した。部屋には酒と精液と唾液の匂いが充満していた。
朝になった。
「あんた誰? うざい目で見ないでよ」
みたいな目で赤い唇が俺を蔑む。巨乳は友好的だったが、それでも昨晩に比べたら格段に冷めていた。
おい巨乳。乳をガチ揉みされたのを忘れたのか?
おい赤い唇。少なくとも一回はお前に中出ししたぞ。覚えてるか?
気持ちいい気持ちいいと言って騎乗位で腰を振ったのを忘れたなんて言わせねえぞ。
全ては過ぎた夢。女二人と男二人の間に高い壁が立ちはだかり、ほとんど会話せずに別れた。
酔ってナンパして乱交したら、朝が来る前に別れた方がいい。酔いが覚めたら後味が悪い。
どっちの女のものか忘れたが、俺の背中に引っかき傷がある。いまだにひりひりと痛む。