ナンパでの出会いはギャップとの出会いでもある。
一杯食わされる出会いが楽しい。ナンパした後、見た目の印象とは裏腹だったりすると、当たりくじを引いたような気分になる。ギャップからくる驚きとわくわく感は、ナンパならではの歓びのひとつであろう。
ブスだと思っていたら身体がすこぶる良かった。上品で清楚だと思っていたら剽軽で人を笑わせるのが上手い女だった。ヒマそうだったけど意外に深刻なものを抱えている女だったなど、数え上げたらきりがない。徐々にその女の輪郭にふれていく通常の出会いと違い、ナンパはいきなりどんでん返しがあるからたまらない。
和歌山市の某居酒屋でナンパしたOLは、印象が不潔だった。若い女にしては無造作で細やかさがなく奔放。だらしないと言ってもいい。ナンパしたきっかけは、居酒屋の前でしゃがみ込み、たばこをくわえてガス欠ライターと格闘していた彼女にジッポライターを差し出したことだ。
「誰かを待ってるの?」
「その逆。置いてきぼりにされちゃった」
「今まで飲んでたの?」
「うん」
「誰と」
「女子会」(笑)
酒の匂いのする笑顔だった。浅黒いせいか暗がりではそれが汚れに見え、奔放な態度とあいまって不潔な印象を与える。
「これから飲み直すか」
「もしかして私をナンパしてんの?」
「ナンパするかどうか飲みながら考える」
同じ居酒屋に入って飲んだ、カウンターだったが、彼女は今までその場所で飲んでいたという。皿やコップがまた片づけられておらず、彼女は食べ残した自分の海鮮サラダに口をつけた。
「ちょっと・・・それまずくね」
「自分のだもん」
女がそばにいるという感じがしない。ナンパされた女は、もっと気に入ってもらおうと自分の光る部分を見せつけてアピールするものだがそれもしない。やがて話のネタもつき、どうしようかと考える。このままこの女と付き合うかどうか微妙。恋愛の対象になどなり得ないし、だがせっかくナンパした女だからこのまま捨てるのはもったいない。行きずりのセックスでもしてみるか。
「ホテル行こうか」
「そう言うと思った。いいよ。ホテル代そっち持ちでね」
それからラブホに入ったが、そこで彼女のギャップに出会うことになる。
身体が綺麗! 浅黒いのは顔と腕と脚の一部だけで、裸体は白い。肌もすべすべ。それに美乳だし乳首もエロい。俺はぴんと上を向いたその薄いピンクの果実をしゃぶり続けた。
「お前のおっぱい、すげえな・・・たまんねえ」
ブチュブチュと音を立てながらしゃぶり続ける。彼女の顔は色っぽいアヘ顔になり、ライターと格闘していたお粗末な表情はどこにもない。俺はまるで別人とセックスしているような感覚に墜ちた。それは強い快感を生んだ。
彼女とは今でもセフレとして付き合っている。心に触れるにつれ、意外とナイーブで可憐な一面があることもわかってきた。
これがあるからナンパはやめられない。