自信過剰な女をナンパして失敗した話

自信過剰な女をナンパして失敗した話

世の中にはいわゆるナンパ師と呼ばれる男がいて、おもしろいように女をつり上げる。だがそれはごく一部の天才であって、大半の凡庸な男にとってナンパの成功確率はどちらかというと低い。

だからいざナンパに成功すると、その女がどんな性向をしていてもとりあえずキープしておこうという心理が働く。相性が極端に悪い場合をのぞき、恋愛関係になることを視野に入れて何らかの形で関係性を保つ。女も同じで、付かず離れずついて回る。女も恋愛がしたいのだろう。女なりのやり方で男をキープする。

松江市でナンパしたのはまさしくその手の女だった。目がつんとした自信過剰とも言うべきマウント女で、私をナンパしたあんたは見る目があるなどと言う。たしかにスレンダーな体躯で手足が長くて細い。厚手のセーターを着ていたので胸の膨らみはわからないが、青信号点滅で走ったときの揺れ具合から分析するとバスト八十五は下らないだろう。

身体は問題ない。

だが性格がどうも。

俺はどちらかというと大らかな癒し系が好きだが、彼女は正反対。女性が喜びそうな話(食べ物、ファッション、旅行など)を提供するも会話は続かず、時計とスマホばかり見る女だった。だが決して俺を嫌っている風ではなく言葉の端々に恋の可能性を匂わせる。だから俺も無碍に扱えず、ずるずるとおもしろくない交際を続けた。

「とりあえずエッチしてみない?」

そんなメールを送った。

「とりあえずって何? そんな言い方して欲しくない。私としたいんなら誠意をもって接して」

「香奈恵さんが好きです。エッチしたいです」

「今度誘って」

彼女が好きだというのは大嘘だが、彼女の場合セックスに持ち込むにはその手の前置きが必要なのだ。俺は本音と建て前をきちんと線引きしてスレンダーな身体に挑んだ。

男は好きでもない女とセックスできる素質を持っているが、女はそうではないらしい。声も出すしアソコも濡れるが、喉元から声を出すしアヘ顔も芝居じみている。本気汁も出ず、奥の方に入れたら痛みを感じた。

乾いた膣内で何とか射精。セックスの甘い余韻なんてみじんもない。

「あ~あ。なんでいつもこうなんだろう」

彼女も意味深なため息をつく。

こういう関係は、どちらかがキープをやめたら終演する。今回は彼女の方がリタイヤした。

ナンパは難しい。仕留めてもうまく行く保証はどこにもない。

でも恋愛が成就する可能性もゼロではない。可能性があるから、男も女も懲りずにナンパスポットに出かけていくのだ。

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