僕は昔から女性との会話が得意ではありません。大勢で食事する程度なら大丈夫ですが、少人数となると厳しく、ふたりきりとなると何を話せば良いのかわかりません。しかし、そんな性格なので女性と出会うこともなく、今は24歳なんですが、これまで彼女ができたこともありません。そのため、昔からの友達には、そろそろ女性に対するあがり症を克服しないとダメだと言われています。そうは言われてもどうしょうもないんですが、友人いわく「真面目すぎるからダメなんだ」ということです。つまりは、もっと適当に女性と向き合ってみろということなんです。
そのため、友人がススメてきたのがナンパです。人見知りの僕にとんでもないことを言うなと思ったんですが、ゲーム感覚で気軽に女性に声をかけることを経験していけば、やがては人見知りだってなくなっていると言われたんです。とても信じられませんでしたが、たしかに女性に興味がないかと言えば、それは嘘になりますので、友人に騙されたと思ってチャレンジしてみることにしたんです。友人は遊び慣れしていて、ナンパもしょっちゅうしているそうです。そういう相方がいればどうにかなると思って、ふたりで徳島市内のとあるショッピングモールに向かいました。
ここは女性だけで買い物しているのもよく見かける上、友人いわく穴場的なナンパスポットらしいです。最初は友人がいろいろな女性に声をかけていたのですが、それを何度か見たあとに僕もチャレンジさせられました。友人の姿を見ていたおかげで、そこまで緊張できずに声をかけることができたのですが、やはりうまくいきませんでした。みなさん買い物に来ているわけですし、5人くらいに声をかけて全部NGでした。まともな会話さえ成立しませんでした。でも、友人がたくさん失敗してこそ女性への苦手意識も薄まっていくというので、その後も何人も声をかけました。
実際、友人がすごいなと思ったのですが、たしかに数多くの女性に声をかけて無視されているのを繰り返していると、やがて苦手意識がなくなっていったんです。女性に声をかけるのも緊張しなくなっていったんです。そのためなのか、20人目くらいに声をかけた女性は立ち止まってくれたんです。そして、多少ではありますが会話もできました。相手は22歳の女子大生で、ひとりで買い物に来ていたそうです。別に買いたいものがあったわけではなく、なんとなくヒマつぶしみたいな感じでモールに来ていたそうです。そこまで話してくれたので、僕のほうも完全に緊張感をなくしてリラックスモードになっていました。
そのため、友人から言われていたようにその場で連絡先の交換をしました。友人いわく、もっと慣れているならば、その場で遊びに行くことを打診してもいいそうですが、さすがに僕がそこまで持ち込むのは無理だと判断してくれたようで、連絡先の交換をゴールにしようと言ってくれていたんです。僕はその約束通りにLINEのIDを交換しようと言いました。彼女はちょっとだけ困ったように笑いましたが、嫌ではなかったみたいで、自分のスマホを取り出してくれて、その場でIDを交換させてくれました。結局、彼女とはそれでおわかれして、僕は友人のもとに戻ったんですが、妙な達成感がありました。
そして、自分の中でも何かが変わっていたような気がしました。女性に対して苦手な意識というものがなくなっていたんです。それを友人に伝えると、それを友人も喜んでくれました。この友人とはまたナンパに出かけようと話しています。それに、じつはもうひとつうれしいことがあって、LINEのIDを交換させてもらった22歳の女性大生ともメッセージのやり取りが続いていて、もうすぐ再会できそうなんです。これも含めて友人には感謝です。
これまでは苦手という思いばかりが前面に出てしまって、どちらかといえば女性との接触を避けるようなことが多かったんです。でも、今は大きく変わっています。さすがにまだひとりでナンパをする勇気まではないのですが、女性と話すことは普通にできるようになっていると思います。そして、まずはこの前仲良くなった女子大生との関係をもう少し発展させていきたいです。これをきっかけに彼女にでもなってくれたらうれしいんですが、とにかく純粋な感じの女の子だったので、もしもそうなったら自分の人生はとても楽しいものになっていくような気がしているので、まずはそこを目指したいです。