巨乳娘に捨てられた中年男の話をする。少々湿っぽいが読んでほしい。末尾に読者の皆さんへのお願いごとも書いているのでよろしく頼む。
名前は美紀。俺と同じ熊本市に住む二十五歳。四ヶ月ほど交際したが、ある日町でナンパされ、その男と付き合うことになったから別れたいと言う。思い直すよう(俺を選ぶよう)説得するも叶わず、すぱっと切り捨てられた。俺が既婚者だからこういう結果になっても仕方ないのだろうが、少し冷たすぎるのではないかと思う。優しい女だっただけに、男ができた後のギャップが信じられない。女心とはこんなにも移ろいやすいものか。
美紀との出会いと別れの顛末を書いてみたい。
関係はセフレだったが、俺は美紀に対して特別な気持ちを持っていた。決して身体だけを求めていたわけではなく、美紀の丸い性格が好きだった。その性格は、たぶん巨乳が作ったのではないかと思う。性格をつかさどるのは一般には脳だと思うが、美紀の場合巨乳なのだ。巨乳が女の輪郭を丸くしていた。
あれは出会って初めてのセックスのときだった。背後から乳首を弄りながらこう耳打ちした。
「あとでアレをはさんでもいか」
「はさんでもいいけど、その前にちゃんと愛して」
わしづかみにして巨乳を揉む。ぷりぷりした乳肉。すべすべな乳肌。揉むと乳輪が広がる。白くて小さなボツボツがくっきり見える。そこを舐め回すと、ピンク色の乳首が勃つ。口に含み、舌で転がしながらチュウチュウ音をたてて吸う。揉みながら吸う。自分の唾液の匂いがする。べとべとする。乳首の先をソフトに噛む。
「ンンッ! ハァンッ・・・」
身をよじる。妻もそうだが、乳首をそっと噛むと感じるらしい。乳首を噛むなんてあまり聞かない愛撫だから、これは俺の得意技なのだと思うようになっていた。歯を乳首にあて、カクカクカクとテンポよく噛む。
「ヤァンッ! イインッ! イイ」
俺の頭を抱え、脚をからませてくる。声の大きさもさっきとあきらかに違う。
「これ、いいだろう。これは俺にしかできねえテクだ」
「奥さんにも同じことしてるの?」
「するもんか。美紀ちゃんだけだ」
乳を愛されると、テンションが上がって表情がにこやかになり、身体全体が丸くなり、母性豊かないい女に見えてくる。このまま美紀の乳に抱かれて死んでもいいなんて思う。その日、俺は美紀に惚れた。
美紀とは週に一回ほど会った。やっていることは不倫だから、もちろん妻には気を遣う。様子が変、などと思われないようにするのは不倫の基本であるし、メールや電話の証跡を残すのも愚の骨頂。夫に愛されていることを自覚させるため、定期的な営みも忘れない。とにかく妻との距離感を維持することが大切なのだ。妻は貧乳で美紀とのギャップが大きいが、これも男の仕事と割り切る。
だが出会って四ヶ月目。ナンパされたと美紀から告白され、別れてほしいと言われた。妻に疑われることなく順風に行っていただけにショックは大きい。
「そんなこと言うなよ。俺を見捨てるなよ」
「本当は結婚してる人いやなんだもん。だっていつまで経っても幸せになれないでしょう? 私は幸せな女になりたいの」
大きな瞳が潤んでいる。カラーをつけているからますます大きな瞳に見える。女っぽい目だった。抱きしめてベッドに倒し、巨乳を揉む。
「イヤ・・・ンッ・・ちょっと待ってっ! わかってくれたの? 別れてくれるの?」
乳首を噛めば元に戻ると考えた。乳首を噛めば人間が丸くなり、俺から離れていかないだろう。ブラウスを開き、白いブラを押し上げると、巨乳を引っ張りだし、揉む。乳首をショボショボと舐め、少し強めに噛む。
「これからは毎晩会ってやる。ずっと乳首噛んでやる。だから俺から離れないでくれ」
何も言わない。喘ぎ声も聞こえない。
それから美紀が連絡してくることはなかった。ブロックしているのか、メールの返事もない。住所も聞いていないのでどこに住んでいるのかも見当つかない。
「最近元気ないね・・・仕事大変?」
と妻。
「ちょっと気分転換してくる」
熊本市内に住んでいるはずだから、繁華街をぶらぶらしていたら会えるかもしれない。美紀に対して起こせるアクションといったらその程度しかなかった。
玄関を出ると、断末魔の蝉が狂ったように飛んだり跳ねたりしていた。ときどき無鉄砲に壁や地面に体当たりする。自分に似ているなと思った。けっきょく美紀を探しには行かず、個室ビデオBOXで巨乳女優のDVDを観ながら二回抜いた。
今でも美紀のことが忘れられない。寂しくてしかたない。
ひょっとしたら今頃ナンパ男と別れて出会い系に戻っているかもしれない。
誰か熊本で美紀という巨乳娘に出会ったら、中央区黒髪町の高橋まで連絡するように伝えてほしい。