仙台市内のクラブでナンパされた体験です。先月の話になりますが、その日は週末で、会社の同僚ふたりとクラブに行ってきました。私はこれまでクラブに出かけた経験はほぼゼロで、同僚のひとりがそういうことに強い子だったので、すべてお任せでした。同僚から誘われて、特に重要な予定もなかったし、なんとなく仕事と家の往復ばかりでつまらないと感じていたので、何か変わったことでも起こればいいなと思って、ついて行きました。この時点ではナンパされることなんて頭の片隅にさえ無かったのですが、かなり強引な誘いを受けました。ナンパってグループで来ている場合にはあまり狙わないと聞いたことがあったのですが、このときは向こうも3人組で、私たちが3人でいるのに、堂々と声をかけてきました。
クラブ慣れしている同僚に対応は任せておけばいいかなと思ったのですが、3人対3人だったのでマンツーマンで男の人に声をかけられ、私は自分で対応しないといけなくなりました。同僚たちはそれぞれ他のふたりの男性から声をかけられていて、徐々に私と離れていきます。今から思えばこれも彼らの作戦だったような気がします。3人一緒にいたときは、まだ心強かったのですが、ひとりになってしまうと心細くなり、ハッキリと断る勇気もなくなっていました。私に声をかけてきていた彼は名前も名乗りませんでしたが、明らかに私より年下でした。私は間もなく30歳になるんですが、彼の年齢は明らかに20代の前半でした。
これまでも強引なナンパを受けた経験もありましたし、誘いを断った経験もありましたが、じつを言えばここ数年は以前のように声をかけられることもなくなっていたので、困りながらも久しぶりに味わう経験に少しだけ楽しくなっていました。彼はしきりに、クラブを出てふたりで呑みに行こうと繰り返してきました。私は返す言葉がなく、飲み物を何度も口に運びながら俯いていたのですが、彼が口にした「お姉さん」という言葉にキュンとしたのです。私は兄がいますが、弟がいません。弟が欲しい願望があったので、その言葉には弱いのです。彼がどういう思惑でその言葉を使ったのかはわかりませんが、とにかく私はお姉さんと言われた瞬間、反射的に彼の顔に目を向けてしまったのです。
彼はそれが嬉しかったようで笑ってくれたのですが、その笑顔がまた可愛いんです。そのため、私はこの時点でほぼ彼の手中にありました。彼もかなり女性慣れしているようで、私の心も透かしたようです。私が落ちたとわかったようで、即座に腕を掴んできました。そして、そのまま引っ張られて彼に連れていかれました。隙をつかれて連れていかれたという話ではなく、私は自分の意思で彼についていったのです。本当はその翌日、美容室の予約を入れていたので、若干それが気になったのですが、どうにかなるかと思って呑みに行こうと思ったのです。でも、彼が私を連れていった場所や居酒屋やバーではなく、ラブホでした。
本当は引っ張られているあいだに、そういうことになるのかもと思っていたのですが、実際にホテルの前までくると、さすがにドキドキです。でも、彼のほうに迷いはなく、そのまま私を部屋に連れこみました。抵抗するチャンスなら、いくらでもありましたが、私は抵抗しませんでした。ナンパされた経験はたくさんあっても、すぐさま身体を許してしまうことなど、これまでの人生で皆無です。もしかしたら、私は家と会社の往復につまらなさを感じていましたが、それはもっと噛み砕いて言えば欲求不満だったのかもしれません。誰かに抱いてほしいと思ってもらっていたのかもしれません。
だからこそ、私は部屋に入ると彼にキスされ、服を脱がされても抵抗しなかったのです。そればかりか自分から彼に舌を絡めていました。彼を受け入れながら、こんなことをしても良いのかと若干は思ったのですが、結果的にはすごく楽しい体験になりました。翌朝、目を覚ますとそこには彼がいて、昨晩見たのと同じ可愛い笑顔がありました。
同僚もそれぞれお持ち帰りされたようですが、お互いに詮索するようなことはありません。彼との関係はそれきりですが、嫌な気分になることもなく、今でもいい思い出になっています。もしも同僚から、またクラブに行こうと言われたら、おそらく私はそれを断らないと思います。そして、また声をかけられたら、そのときの気分次第ではホテルまで行くような気がしています。