出会い系はナンパしたことがある人にオススメだ。
俺は初めて出会い系サイトに登録して女性に会ったんだけど、昔のナンパ経験が役に立った。
ナンパ自体は下手くそで断られることが多く、出会い系でもそれに似たことが頻発したものの、決してくじけなかった。
ナンパで鍛えた心が、出会い系で大いに力を発揮したというわけ。
「あんたみたいな人に誰も会わないと思うよ」
相手が見えないネットの世界だから言いたい放題。
こんなメール送られたら、普通くじけるよな。
出会い系が初めての人は立ち直れないんじゃないか。
「そんなにエッチしたいんならフーゾク行けば?」
門前払いの日々。
でも量をこなすうちに、一人二人と候補者が現れる。
自分と会ってもいいという女性も現れる。
ナンパと似ていると思ったよ。
姫路市の女性だった。
神戸から車で飛ばして会いに行く。
途中、みなと祭の開催を知らせる看板が目についた。
時間があれば彼女と花火を見てもいいな。
初対面だけど、もう長いこと付き合っていたような雰囲気がある。
ここ数日間、メールでさんざん熱弁をふるって口説いたからね。
彼女からもいいこと悪いこといろんなメールが飛んできて、気持ちをぶつけあった。お互いのことは、すでに理解し合っていた。
コーヒーショップで顔を合わせたとき、お互いを見てにこっと微笑む。
「初めまして、じゃないね。そんな気分」
と彼女。
「二年くらい付き合った気がするなあ」
「コーヒーでいい? 買ってきてあげる。だからあの窓際の席取っておいて」
「わかった。ありがとう」
黄色いワンピース。
丸いお尻と腰のくびれがコケティッシュ。
背中にたれたセミロングヘアが素敵だ。
何となく女優の上○彩さんタイプ。
何の予備知識もなく出会い系にきて、数打ちゃ当たるの精神で女性と向かい合ったこの一ヶ月。
何とかここまでたどり着いた。
「あのさ、私だけじゃないでしょう。他に女いない?」
「いないよ。君だけだよ」
「そんな気しないんだけど。四股とか五股くらいかけてるんじゃない?」
「思いこみだ」
でもそれは嘘じゃない。
メールを送って返信待ちの女性が三人ほどいるのは確かだ。
その女性たちから色良い返事が来たらどうするつもりだ。
「もしもいるんだったら断ってね。メールしたらだめよ」
コーヒーに口を付けて、上目遣いに俺を見る彼女。
きれいな女だと思った。
彼女に決めていいかと思う。
彼女にホテルに行かないかと誘ったらすぐOKした。
メールの内容から、たぶんこうなるだろうなと思ったのらしい。
彼女なりに覚悟はしていたんだろう。
すっかり暗くなっていたけど、彼女の案内でラブホに車を走らせる。
見た目は細いが、裸にするとむっちり感があった。
背面座位の体位で、後ろから乳を揉みながら、首にキス。
耳元でささやく。
「バストいくつだ」
「言わない」
「八十四くらいか」
「ふ~ん・・・アンッ・・・そのくらい、かな」
下半身に手を延ばし、湿った部分を指でこする。
陰唇にそって縦に動かすと、自然と穴に指が落ち込む。
「ああァァァ」
その体位のまま挿入。
髪の毛の匂いをかぎながらゆっくりピストン。
男子最高の時間を過ごしたよ。
ナンパも出会い系もやってることはそんなに変わらない。
でも出会い系の場合、相手のことを考える時間が増える気がする。
プロフを書いてる時、メールの文面を考えている時、送ったメールの返信を待ってる時、相手のことをじっくり考える。
相手が見えないから気軽に文章を書ける反面、相手のことを考える時間も増えてくる。
ナンパではこれがなく、ある意味自己中心的なアプローチだった。
出会い系がナンパ経験者にオススメだというのはまさにこの点だ。
断られてもくじけないナンパ精神に、相手のことをじっくり考えるデリカシーを加えれば百人力だ。
この両者がシナジーを生み、女性との熱い出会いを実現する。
きっと面白いほど女性が寄ってくるだろう。
二回戦目が終わって一息ついて、今日はこの辺にしておくかと横になったままブリーフをはく。
「今日みなと祭だよな。花火見にいこうぜ」
すると彼女が勢いよく俺の身体に乗ってきた。
「死ぬまで愛さないの?」
「はっ?」
「死ぬまで私を愛するってメールに書いたじゃない。まさか忘れたって言わないよね?」
確かに書いた。四日前だ。
相手を思いやる言葉にしてはちょっと非現実的な文章だったと思いながらも、しぶしぶ彼女を抱き寄せる俺。
花火は見れそうにないから、せめて二人だけの花火を打ち上げることにするか。
姫路の夏の夜は長くなりそうだ。