俺は都内でナンパばっかりしていた。
今二十六歳だけど、この六年間で十八人の女性をゲットしてきた。
そのうち即肉体関係に持ち込めたのは十二人。なかなかの戦績だと思うよ。
でもナンパもいい加減いやになった。
わざわざナンパスポットまで出かけて行ったり、声かけたり口説いたりするのが面倒くさくなったんだな。
それに上の数字が示しているように、すぐに身体を許す軽い女ばかりで嫌気がさした。
そろそろ真面目な女性とピュアな恋をしてみたい。
そう思ってナンパから足を洗ったよ。
次に手を付けたのが今まで無縁だった出会い系。
ツーショットのチャットサービスってのは経験があるけど、出会い系は経験がない。
出会い系なら、どこにも行かずに家にいながら手軽に女を探せる。
これが出会い系に乗り換えた理由だ。
実際、女性と連絡を取り合ってみて驚く。
女性をものにするまでのやり方がナンパに似てるんだよね。
相手を丸め込むやり方が、話し言葉から書き言葉に変わっただけなんだ。
これなら蓄積したナンパ経験が役に立つ。
出会い系サイトって、要は男女の出会いをIT技術で効率化した世界なんだろうから、ナンパだってIT化できると思う。ナンパ技術も進化させるべきだね。
口説き文句並べてお手軽に落とした女は知美という二十三歳の女だった。秋田県の横手市に住んでる可愛い子。
簡単にLINEのIDを手に入れ、あることないことたくさん会話した。
「卓さん(俺のこと)て器用なんですね。文章もうまいし」
「なんで」
「すぐそばにいるような気がする」
ナンパでもそうだが、女性がこの手の発言をしたら勝ちパターンだ。
心がほぼこっちに傾いてきてることは確か。
さて次のステップはデート。
横手市は少し遠いけど、車で会いに行ったよ。
温泉旅館で一泊する予定なので、そこに知美を連れ込もうと思った。
湯沢横手道路から国道十三号にぬけ、大型スーパーの駐車場で待ち合わせる。
写真の通りぽっちゃりした可愛い子だった。
少し垂れ目なのが俺好み。
「これから旅館にチェックインするけど、知美ちゃんも泊まる?」
「やっぱりすごいわ。会ったばかりの女の子によくそんなこと言えるね」
目を丸くする知美。
「まあいいや。とりあえず旅館だ」
車に乗せた。
秋田県立近代美術館の横を通過して、横手温泉で有名な旅館を目指す。
チェックインして、部屋に入る。
無防備にも一緒についてきた。
でもいきなり襲うのは不謹慎。時が熟すのを待とう。
「知美ちゃん、せっかくだから楽しくいこうな」
「どういうこと?」
「お互い若いんだから楽しまないと」
「わかってるわよ」
座椅子に座ってお茶を入れてくれる知美。
「明日隣の国からミサイルが飛んできてみんな死ぬかもしれないぜ。今を楽しまないと」
「ぷっ!」
口に手を当てる。
たれ目が可愛い。
「そう考えるとエッチしたくならないか?」
「そうかなあ」
「だってもう二度とエッチできないんだぜ」
「そうかもね・・・うん」
瞳が潤んでくる。
横座りになって、心なしかこっちに身を寄せる。
俺の勝ちだ。
ナンパでもここまでくれば勝利。
抱きしめるが抵抗しない。
そのまま唇を奪い、横になる。
昼間で明るかったけど、服脱がせてセックスしちゃった。
久しぶりだったから興奮して早漏気味だったね。
「今晩泊まれよ、知美」
「うん、そうする」
たれ目がますますたれた。
この達成感、ナンパ時代とあまりかわらない。
出会い系の世界でも十分ナンパできるってことを知った。
世の中のナンパ師諸君、君の技術は出会い系でも通用するぞ。
俺と一緒に出会い系の女をナンパしないか?